ガラモ場造成におけるウガノモク幼体着生用基質の設置条件に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
北海道登別地区富浦漁港内に設置した基質プレートを対象として,ウガノモク幼体の密度および全長の変化を観察するとともに,波浪,漂砂および光条件と植食動物の生息実態を把握し,幼体の生育に適した基質プレートの設置基準を検討した。その結果,幼体は設置水深の深いプレートほど密度が低下するとともに,小型化する傾向が認められた。また,設置水深の深いプレートほど漂砂の日堆積量は増大し,日積算光量子束密度は低下したほか,有義波高と日積算光量子束密度の時系列変化には同調した傾向がみられた。さらに,幼体は,日積算光量子束密度の低下に伴って密度が低下するとともに小型化した。以上のことから,当該海域において幼体の生育を制限している主な要因は,波浪に起因した漂砂の増加に伴う光量低下であると推察され,本種を対象とした藻場造成を行うに当たっては0.7mol/m2/day以上の日積算光量子束密度が保障される水深帯に基質プレートを設置する必要があると考えられた。なお,植食動物としてコシダカガンガラとユキノカサが確認されたが,分布は一部のプレートに限定されていたことから,幼体の減耗に及ぼす食害の影響は小さいものと推察された。
- 北海道立水産試験場の論文
- 2010-09-00
北海道立水産試験場 | 論文
- 小樽東部海域におけるシャコ(Oratosquilla oratoria)の移動回遊
- 造成された溝における海藻の植生
- 北海道西部沿岸域におけるキアンコウ漁獲量の急増
- 石狩湾における底生魚類の生産構造-1-春季における底生魚類の群集構造と分布様式の類型化
- 日本周辺海域におけるタラ科魚類の寄生虫