後志北部海域沿岸におけるイカナゴ稚魚漁業の特徴について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 近年,漁獲量減少の著しい後志北部海域におけるイカナゴ (稚魚) 漁業の減少要因を理解するため,2008~2010年に余市沖で漁獲された漁獲物の特徴と,1985年以降の漁獲動向を,後志南部海域と比較検討した。 2. 耳石 (礫石) には扁平石と同様の日周性が認められ,その日周輪解析から,後志北部海域産の漁獲物のふ化時期の範囲は後志南部海域と同様で,いくつかの時期に段階的にふ化した群で構成されていた。主体となっているふ化群のふ化時期は,年間・海域間で異なった。 3. 後志北部海域の漁獲物の方が,南部海域の漁獲物よりふ化からの成長量は大きい傾向があった。 4. 漁獲動向の解析から,後志北部海域の稚魚資源は南部海域と同じ資源変動範囲にある親魚により産み出されているが,北部海域で漁獲対象となる資源は,南部海域とは異なり積丹半島周辺の産卵場から産み出された資源であることが示唆された。 5. 近年の特徴として,資源量の低下と産卵海域の偏重により,北部海域の産卵場から産み出される資源の規模が縮小傾向であり,これによって積丹町から小樽市にかけての漁獲減が目立つ状況となっていることが推察された。
- 北海道立水産試験場の論文
- 2010-09-00
北海道立水産試験場 | 論文
- 小樽東部海域におけるシャコ(Oratosquilla oratoria)の移動回遊
- 造成された溝における海藻の植生
- 北海道西部沿岸域におけるキアンコウ漁獲量の急増
- 石狩湾における底生魚類の生産構造-1-春季における底生魚類の群集構造と分布様式の類型化
- 日本周辺海域におけるタラ科魚類の寄生虫