ネパールの中間丘陵地域における野菜生産者の技術効率性に関する分析
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概要
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ネパールにおいて,野菜生産は,貧困削減のためのプログラムの一環として振興されている。このような中,野菜生産における収益性向上を実現するための第一歩として,野菜農家の技術効率性の向上が必要であると考えられる。なぜならば,ネパールの野菜農家が新技術の導入に伴う費用を負担することは,多くの場合,経済的な困難を伴うからである。そこで,本稿では,ネパールにおける野菜生産の技術効率性の水準を計測し,さらに,その水準に影響を与える要因を明らかにする。なお,分析にあたっては,野菜生産が広く行われている中間丘陵地域のダディン地区(Dhading District)を対象に,無作為抽出した野菜農家50戸の調査結果をもとに,包絡分析(Data Envelopment Analysis,DEA)法を用いて,技術効率性の水準を計測し,そこで得られた結果をもとに, トービットモデル(Tobit regression model)により,その水準に影響を及ぼす要因を明らかにする。分析の結果,以下の点が明らかとなった。まず,技術効率性の水準は0から1までの値をとり, 1に近いほど技術効率的であることを示すが,調査農家の技術効率性の水準は, 0.22から1までの範囲に分布している。また,十分に技術効率的な(技術効率性の水準が1である)農家は全体の32%であり,半数以上の農家は技術効率的でない。さらに,技術効率性の水準の平均は0.65である。この結果は,現行の技術体系のもとで技術効率的な生産を行うことにより,生産量を35%増加させる余地があることを意味している。最後に,技術効率性の水準に影響を与える要因として統計的に有意であるものは,年齢,学歴,営農規模,信用利用の有無,農業訓練経験の有無および性別である。
- 食農資源経済学会の論文
- 2010-01-00
食農資源経済学会 | 論文
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