活性炭および土壌消毒処理によるモモの連作障害軽減効果
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概要
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本研究では慣行の客土や大苗移植に替わる省力的なモモの連作障害対策技術開発に向け,モモ連作障害軽減に適した資材の検討を行い,活性炭および土壌消毒処理による連作障害軽減効果について検討した. 1. 現地 '白鳳' 21園の土壌のアレロパシー活性は,樹間よりも株元に近い部分で高い傾向があった. 2. モモ連作土壌のアレロパシー活性低減には,木質系の活性炭の効果が高かった.また,ある種の木炭は重量比O.5~1O%の範囲で土壌への添加量が多いと検定植物の根長阻害率を低減した.しかし,活性白土,パーライトおよびバーク堆肥については1~1O%の間で混和量を増やしても検定植物の根長の阻害率はほとんど低減しなかった.また,土壌消毒処理による根長阻害低減効果は低かった. 3. 2008年に実施したポット試験では,モモ連作土壌の活性炭1%,5%混和区が無処理区に比べ解体時のモモ実生苗の地下部の乾物重が有意に重かった.しかし,2009年に実施したポット試験では活性炭混和区と無処理区との間に有意な差は認められなかった.一方,モモ連作土壌の土壌くん蒸剤による土壌消毒処理は,無処理区に比べ2008年,2009年のポット試験ともに解体時の地上部の乾物重が有意に重かった.なお.新土についても活性炭,土壌消毒処理による実生苗の生育促進効果が認められた. しかし,新土に比ベモモ連作土壌では,土壌消毒単用および活性炭との併用処理区で無処理区対比の地上部,地下部乾物重値がやや大きい傾向であった. 4. 2007年に研究所内および現地紀の川市のモモ2代畑の改植時に植え穴土壌に1kg,2 kgの活性炭(F. W.) 処理し,定植苗の生育調査を2年間実施したが,苗木の生育に無処理区との有意な差は認められなかった.また,2009年に現地モモ改植園で実施したほ場試験では, '日川白鳳'1年生苗の定植9か月後に活性炭混和区,土壌消毒区および無処理区には苗木の生長量に有意な差は認められなかったが,土壌消毒+活性炭混和区では他の処理区に比べ有意に生育が促進された.以上のことから,モモ改植時の土壌消毒と活性炭の併用処理は連作障害軽減に有効な方法であると考えられた.
- 2011-03-00
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