母子牛血漿におけるビタミンAとβカロチン量,ならびにレチノール輸送タンパク質量の動態解析
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概要
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黒毛和種牛とホルスタイン種牛の母子21頭を用いて,分娩前後の母牛と出生直後の子牛(新生子牛)の血漿に含まれるレチノール(ROH),レチニールパルミテート(RPAL),βカロテン(β-c),ならびにROH輸送担体であるROH結合タンパク質(RBP4)とトランスサイレチン(TTR)量の動態を時系列で観察し,母子牛におけるこれらの生理的動態と各種成分との関連を明らかにした。母牛の血漿ROHとβ-c量は,分娩2週前の値に比較して分娩時に著しく減少し,この傾向は,ホルスタイン種牛に比較して,ROHとβ-cの摂取量が少ない黒毛和種牛において顕著であった。また,血漿RBP4量とTTR量の時系列は,血漿ROH量の変動と均衡を保ち密接にその量が制御されていた。そして,この傾向は,β-c等の摂取量が多いホルスタイン種母牛において顕著であった。このことから,ROH,RPAL,β-c摂取量の多寡が,母牛の血漿RBP4量とTTR量の時系列に影響を与えていること。また,血漿ROHそのものがRBP4の分泌機構を制御していることが示唆され,母牛の妊娠後期から分娩後におけるVA給与とその代謝に関わる貴重な知見を得ることが出来た。さらに,母子間の血漿ROHモル比は極めて近似し,品種差に大きく影響されることなく,母牛は子牛の1.6~1.8倍モルのROHを保有していること。また,血漿TTR量も品種や母子の差に殆ど影響されることなく,血漿RBP4量の1.6~1.9倍モルを保有していることが示唆された。血中のROHは,RBP4,TTRと1:1:1のモル比で結合し,複合体を形成し標的細胞へ輪送されている。このことから,母子牛はROH代謝に必要十分な量の血漿RBP4とTTRを保有していることが明らかになった。
- 東京農業大学の論文
- 2011-12-00
東京農業大学 | 論文
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