マイクロサテライトDNA多型情報にもとづく日本鶏、特に軍鶏およびその近縁品種の遺伝的多様性と集団構造
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概要
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軍鶏は多くの日本鶏品種の作出に広く用いられてきたが,それら軍鶏およびその近縁品種間の遺伝的類縁関係や品種内に生じた遺伝的差異については現在でも不明な点が多い。そこで本研究はマイクロサテライトDNA多型情報を用いて軍鶏およびその近縁品種につき分析を行なった。供試鶏として6品種9集団122羽を用い,マイクロサテライト28座位の分析を行った。その結果,交雑により作出された品種であっても,選抜や品種を維持する過程で遺伝的多様性が低下したと考えられる品種も認められた。特に声良は12座位で多型が認められず,もっとも低い遺伝的多様性を示した。品種間の遺伝的類縁関係は書誌学的,形態学的研究にもとづく説をおおむね支持するものであった。品種間の遺伝的分化の程度は高かった一方,同一品種の別地域集団は系統樹においてクラスターを形成した。軍鶏,薩摩鶏,矮鶏において,品種内に生じた遺伝的差異の程度は異なるものであった。軍鶏は地域集団間で明確な遺伝的差異が認められた一方,矮鶏は地域集団間や内種間で明確な差異は認められなかった。薩摩鶏は地域集団間で差異が認められ,さらに内種によっても遺伝的差異が生じていた。本研究結果より,軍鶏およびその近縁品種間の遺伝的類縁関係は従来説をおおむね支持する一方,品種内に生じる遺伝的差異は品種の維持形態やそれを取り巻く人側の要因により,程度や分集団の単位が異なることが明らかとなった。
- 東京農業大学の論文
- 2010-12-00
東京農業大学 | 論文
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