新しい食糧政策下における中国の硬質小麦主産地開発の課題
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概要
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2004年から,中国では直接支払い制度や最低価格買付制度による農家保護と食糧自給の実現を目標とした新しい食糧政策が施行されている。本論部では,華北平原の硬質小麦産地の事例を通じて,産地開発の実態を明らかにし,同時に市場調整政策が産地開発にもたらす影響を明らかにした。第一,今世紀に入ってから,硬質小麦の普及と品質の標準化のために,流通企業と製粉企業が農家の組織化を進め,契約栽培システムを確立している。さらに,他者との競争に勝って原料を確保するために,無償の技術指導や販売奨励金支給を実施している。第二,最低価格買付制度が産地価格を下支えする一方で,この制度やミニマムアクセスで買い入れた小麦を市場に放出して価格を抑制しているため,製粉企業等関連産業の利益が圧縮されている。以上のことから,現行の食糧政策は生産を保護する側面を持つと同時に,関連産業の成長を圧迫する二つの側面を有していることを明らかにした。
- 東京農業大学農業経済学会の論文
- 2011-03-00
東京農業大学農業経済学会 | 論文
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