二酸化塩素によるカイコ核多角体病ウイルスの不活化
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概要
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二酸化塩素は,新たな消毒剤として注目されている塩素系の無機化合物である。この薬剤の養蚕分野への利用性を検討するために,純粋な二酸化塩素と,亜塩素酸ナトリウムの活性化で得られた二酸化塩素の2種薬剤を使用して,カイコ核多角体病ウイルス (1.16×10(7) OBs/ml) の不活化条件を調べた。その結果,二酸化塩素は,塩素濃度500 ppm (pH 2.49) の10分間処理でウイルスを不活化した。一方,活性化二酸化塩素は,ウイルスを不活化するために,活性化原液の60倍希釈液 (pH 2.65) で30分,40倍希釈液 (pH 2.60) で15分の処理を必要とした。どちらの二酸化塩素で多角体を処理した場合でも,多角体は溶解せずに固化するため,このウイルスの不活化は,酸性条件下における多角体の難溶化に起因する可能性がある。今後,多角体に包埋されたBmNPVの不活化が,二酸化塩素によるものか,酸の強さによるものか,その両方の作用によるものか,調べる必要がある。
- 大日本蚕糸会の論文
- 2010-12-00
大日本蚕糸会 | 論文
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