暖地における条桑の伐採時期と再発枝の生長ならびに収量との関係
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概要
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西南暖地において,条桑の中間伐採が再発枝の生長および収量におよぼす影響を明らかにし,桑園の生産性ならびに収穫能率を高めるため,植木(熊本県)と宮崎において同一設計によって行った試験のうち,共通に用いた桑品種しんいちのせの結果は次のとおりである。1.春切桑園では7月8日,夏切桑園では7月20日の中間伐採で再発枝は最も活発に生長し,その後の伐採では次第に緩慢となった。晩秋または晩々秋期に再発枝の収穫利用を可能とする伐採時期の限度は春切桑園の場合に7月下旬,夏切桑園の場合には8月10日頃とみられる。2.中間伐採の収量はその時期が遅くなるほど増加し,再発枝の収量は減少し,桑の生長と並行的に経過した。夏秋期の収量は春切桑園の場合,宮崎では7月8日伐採,植木は7月22日伐採,夏切桑園では植木は8月9日伐採でそれぞれ多く,また植木,宮崎ともに晩秋期1回だけの伐採でも多収となった。3.翌年春蚕期の収量は,春切桑園の場合,植木,宮崎ともに前年の伐採が早いか遅い時期で多収となった。夏切桑園の場合,9月18日深切り伐採による減収が目立ち,晩秋期90cmが安定多収穫と考えられた。4.年合計収量は春切桑園の場合,前年の早い時期の伐採を除いて大差がなく,夏切桑園の場合,夏秋期2回伐採では多収穫が難しく,樹勢いへの影響を考慮して晩秋期1回収穫が適当と判断した。総じて植木に比べ気象条件に恵まれた宮崎において収量が多かった。5.蚕期または掃立日の設定に当たり,中間伐採の時期,再生長の適否ならびに収量との関係を勘案する必要のあることを論議した。
- 農林省蠶絲試驗場の論文
- 1984-10-00