広域水田地帯の洪水防止機能の評価と将来の流域水管理への利活用(1)
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概要
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農地防災の視点からは、洪水は避けるべきものと考えられてきており、これまで水田を主体とする農地では、いかに洪水被害を最小にするための対策をとるかに重点が置かれてきた。一方で、水田地帯が持つ多面的機能の一つである洪水防止機能を例にとれば、水田域は防災上洪水から地域を守るというプラスの効果が認識されるようになってきた。しかし、これまで水田の持つ洪水防止機能については幾つかの調査検討が行われてきただけで、農業施設等も含む農地全体が持つ洪水防止機能を利活用して積極的に地域の防災機能を高める等の方策はいまだ検討されていない。また、それらを広域的に評価するための試みは研究レベルでの検討に止まり、都市住民や広く国民の理解を得るまでには至っていない。そこで、豪雨にともなう災害や甚大な被害を引き起こす大氾濫に焦点を絞り、洪水危険度の高い低平水田地帯の農地・農業施設が持つ洪水防止機能の考え方や大氾濫時にその機能が運用された事例を紹介するとともに、それらをマクロに評価・利用するための方法を紹介する。また、同時に、実際に発生した大氾濫を例に、その評価法の妥当性について検討した結果を示す。さらに、その機能を積極的に利活用して将来の水資源管理に利活用する可能性について討議する。
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