ワイヤレス間隙水圧計の長期計測性能の検証
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概要
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フィルダムなどの盛土構造物には、施工時、運用時の構造物の安全性を確認するため、間隙水圧計や土圧計などの埋設計器が設置されている。これらの多くは対象とする物理量を電気信号に変換する電気式計器であり、電源の供給及び計測データの伝送のための導電ケーブルが必要であった。このため、(1)ケーブル敷設用トレンチの掘削、ケーブル敷設、埋め戻し工程に伴う盛立て作業効率の低下、(2)ケーブルの断線、絶縁低下や誘導雷による埋設計器の故障による計測の不安定化、等の問題点が指摘されてきた。そこで筆者らは、フィルダムにおける施工性の向上、埋設計器による計測の安定性の向上を目的に、低周波電磁波を用いた地中通信技術を活用した導電ケーブルを必要としないワイヤレス埋設計器の開発を行い、当時農水省が建設中の2基のロックフィルダムに試験的に従来のケーブル式センサと併設し、開発されたワイヤレス間隙水圧計テストモデルの適用性を検証してきた。開発時には計測頻度:1回/日、通信頻度:1回/週、の使用条件で10年以上の計測を可能と想定したが、実際に設置されたテストモデルは設置後5年半程度経過時にデータ回収不可能な状況に至った。本報告では、これまでにテストモデルにより計測されたデータと従来のケーブル式センサによるデータとを比較検討し、ワイヤレス間隙水圧計による計測結果の妥当性について検証する。また、テストモデルは想定動作期間10年よりも大幅に短い期間で通信途絶状態に至った原因を、電池容量試験および実ダムでの電池電圧データから解明し、ワイヤレス間隙水圧計の動作期間を長期化するための方策を検証する。
- 農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所の論文
- 2010-03-00
著者
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