2009年3月26日に発生した茶の凍霜害と被害による損失を軽減する摘採法
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概要
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2009年3月26日早朝に発生した凍霜害について、満濃分場内各ほ場を調査し、発生状況と気温の推移ならびにほ場立地条件等との関連を検討した。また、被害程度の大きかったほ場において、被害による損失を軽減するための摘採法を検討した。1.3月26日の気温。寒気の影響で、真冬並みに気温が低かった前日のタ方から下がり続けた気温は、26日午前5時40分には株面最低気温が-4.2℃となり、同時刻地上5mの気温も-2.2℃まで低下した。2.凍霜害の被害。防霜ファン未設置ほ場だけでなく、設置ほ場においても凍霜害が発生した。防霜ファン設置ほ場では、平均被害率2.2%で、未設置ほ場の18.0%に比べ被害が軽微となり、設置の有無による顕著な差が認められた。防霜ファン未設置の南東面傾斜地における上部の被害率は13.6%で、中間部の17.1%、下部の21.0%より低く、傾斜地上部ほど気温が高くなる降霜時の気温水平分布に連動した典型的被害様相を呈した。コンクリート擁壁及び堆肥舎スレート壁面に隣接しているほ場では、壁面からの放射フラックスが密な場所(建物の間近)の被害が軽減された。防霜ファン設置ほ場での品種別被害率は、「めいりょく」2.7%、「やぶきた」1.6%に比べ、やや晩生種の「かなやみどり」0.3%、「おくみどり」0%となり、萌芽が遅い晩生品種は被害を回避できた。3.被害による損失を軽減するための摘採方法。凍霜害発生後の摘採法としては、二度摘みと普通摘みの間で、収量の差は認められなかった。しかし、荒茶の評価は異なり、二度摘みの1回目は上級煎茶、2回目は柳番茶として、また、普通摘みは下級煎茶として評価された。粗収益は二度摘みが79.5千円/10aで、普通摘みは15千円/10aとなり、被害による損失を軽減する摘採法として二度摘みの1回目(早摘み)の効果は高いと考えられた。
- 香川県農業試験場の論文
- 2010-03-00
香川県農業試験場 | 論文
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