ジオシンセティックスを用いた土質材料の補強メカニズムの解明と水利構造物への適用性に関する研究
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概要
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ジオシンセティックスを用いた土質材料の補強メカニズムの解明と水利構造物への適用性に関する研究。1950年から2008年の間に世界の人口は42億人増加(1950年時点の人口の2.7倍(66億6000万人)に増加)した。そのうち、飢餓人口は9億6300万人と言われており、世界人口の7人に1人が飢餓に苦しんでいる。さらに、2050年には92億人に達すると予測されており、世界の食糧需給は今後もひっ迫すると考えられている。21世紀が「食糧の世紀」、「水の世紀」と言われる所以である。人類が地球上で利用できる水は、全水量のごく僅かであり(最も利用しやすい河川、湖沼の水に至っては、地球上に存在する水全体のわずか0.01%に過ぎない)、我々はその僅かな水に依存して生命を維持している。現在では、水需要の増加に伴い世界中のあらゆる地域で、慢性的な水資源不足の問題に直面している。水と食糧生産の問題は表裏一体の関係であり、この水をいかに確保できるかが今世紀の重要な課題であると言える。本研究では、堤体の耐震化および堤体越水に対する耐侵食機能を統合させた補強技術を開発することを目的として、侵食に強い「土嚢」と堤体補強に有効な「ジオシンセティックスを用いた補強土工法」に着目し、それらの機能を組み合わせた新しい改修技術を開発した。本論文の前半では、これらの補強技術の基本となる複合材料の強度変形特性を把握し、強度発現メカニズムの観点から、高い強度発現を生み出すための適切なジオシンセティックスと土質材料の組み合わせや、最適な土嚢の形状・配置などについて検討した。後半では、自然災害(地震・洪水)に強い改修技術(越流許容型ため池)を確立するため、前半の検討結果から得られた知見に基づきジオシンセティックスと土嚢を組み合わせた新しい堤体構造を考案し、実物大の振動実験および越流破堤実験を実施し、現場レベルでの耐震対策・耐越水対策の有効性を検証した。さらに、実用化のための設計・施工技術を構築した。
- 農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所の論文
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