マレーシア国での水田灌漑技術協力
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概要
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穀物の中でもアジアのモンスーン地域を起源とする稲は、連作性のゆえにアジア南半分に広がる多くの人口を扶養してきている。そして、水田文明は、地域特有の農業水利開発を中心とした技術を発達させてきた。低平地は、水辺に近いので人間活動や水田農業生産の場として、古来より利用されてきたが、一方では洪水等の自然災害を受け易い。このため、この地域の住民は、経験を積み重ねた洪水防御のための築堤工事や排水路整備工事を行い、水田農業を維持してきた。筆者は、水田灌漑技術指導の技術者(JICAシニア海外ボランティア)として2002年4月以降2年間、マレーシア国へ派遣された。その主たる業務の目標は、6トン/haの稲作収量と23万円/戸の年収益(日本円換算)の確保である。しかしながら、3万ha以上の水田の全体的な平均値としての目標としては、あまりにもハードルが高いのが実態であった。そこで老朽化した灌漑施設に対し、将来の更新時期を踏まえて、基礎的なデータを収集する目的で、広域の水田用水量の調査を実施した。さらに、現況施設の維持管理の改善についても工夫した。地球温暖化の影響が現実味をおびてきた近年、特に水田用水量(日減水深)調査は、大型揚水機電力量の削減だけでなく、CO2排出量の削減にも寄与するものと考える。さらに世界銀行規模のプロジェクトとして建設された、モンスーン地域の灌漑施設の現状と将来に貢献できることを期待している。
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