GISを利用した農薬予測モデルの筑後川流域への適用
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概要
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本研究ではGISを援用した分布型水収支モデルに、農薬動態予測モデルを組み込み、入手や計算上での設定が難しい農薬情報に関しては乱数を用いた計算手法により、筑後川流域を対象に河川水中農薬濃度の予測を行った。水収支モデルに関しては高い精度で再現し、実流域の水の挙動の再現が必要となる汚濁物質挙動モデルのベースとしての利用が可能であると判断した。そして、農薬動態予測モデルで計算した結果、農薬濃度を比較的高い値で再現した。本モデルにより再現性の低い6月前半部および使用量の少ない有効成分の濃度に関しては、入力データの不足を示唆される結果となった。今後、より詳細な農薬の使用される経路の追跡が可能となれば、モデルの再現性はそれに応じてより高くなると考えられる。農薬濃度の地域的変位に関しては、主河道は比較的濃度が上がることは少なく、支線水路では高濃度の期間が長期間続く傾向になり、農薬使用の影響の出やすい地域だといえる。また、止水期間に関するシナリオ分析から、止水期間の徹底が環境中への農薬の流出を減少させることが明らかになり、営農者への理解の徹底を行うことで環境への負荷を減少できるということがモデル上でも認められた。農薬は環境負荷の大きい化学物質であること、またその使用に対して使用法の徹底が行われていない点でも、より詳細な農薬の追跡が今後求められる。
- 九州大学大学院農学研究院の論文
- 2009-10-00
九州大学大学院農学研究院 | 論文
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