琉球在来豚(アグー)の効率的繁殖技術の確立(6)
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概要
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琉球在来豚(アグー)精子に適した凍結保存技術の確立を目的に、鶏卵黄中に含まれる低密度タンパク質(LDL)を抽出し、凍結用希釈液へのLDL添加効果について検討した。凍結用希釈液へ添加したLDL濃度は、2%、4%、6%、8%、10%の5水準で区分し(LDL添加区)、20%の鶏卵黄添加を対照区(EY20%添加区)として凍結・融解後の精子性状を比較した。1.LDL6%添加区は、EY20%添加区より融解3時間後の運動精子率(Motile)、前進運動精子率(Progressive)が高く(P<0.05)、効果的に運動性を維持していた。2.LDL4%および6%添加区は、EY20%添加区より、精子細胞膜を正常に維持した割合が高く(P<0.05)、細胞膜障害を抑制する傾向が認められた。3.LDL6%添加区は、EY20%添加区より精子先体タンパク質酵素活性が高く(P<0.05)、精子先体の正常性が維持されていた。4.LDL6%添加区は、EY20%添加区より細胞内ATP量およびミトコンドリアの正常性を維持した割合が高く(P<0.05)、精子生存性が維持される傾向が認められた。5.LDL添加区は、EY20%添加区より細胞内コレステロール量が増加する傾向が認められた。しかし、全ての試験区において体外受精(IVF)における精子受精能に有意差は認められず、コレステロール量増加による受精能抑制作用は認められなかった。以上の結果、凍結用希釈液へのLDLの添加は、凍結・融解後の精子性状性を効果的に維持することが示唆され、至適濃度は6%であった。これは、LDLの添加により、細胞膜のコレステロールの授与作用などを介して精子の細胞膜流動性が向上し、精子の凍結障害を緩和した結果であると推察され、アグー凍結精子を作製する上で有効な方法であると思われた。
- 沖縄県畜産研究センターの論文
- 2009-07-00
沖縄県畜産研究センター | 論文
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