選抜育種によるエゾアワビ成長優良系統の作出
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概要
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放流用種苗のトビ個体をもとに作出したF2のメス1個体オス2個体と、天然貝のメス2個体オス2個体の総当たり交配で12の交配組を作出した。これらを用いて種苗生産段階から養殖段階にかけて飼育試験を行い、F3、F2と天然貝の交配群(F2♀×天然貝♂および天然貝♀×F2♂)、非選抜群について成長を比較することで、成長に対する選抜の効果を検証した。1)種苗生産段階においてF3の成長が優れ、F2と天然貝の交配群はF3および非選抜群の中間程度となり、選抜の効果が認められた。また、養殖段階においてもF3およびF2と天然貝の交配群は非選抜群と比較して優れた成長を示した。2)F3およびF2と天然貝の交配群のうち、生後1年で36mm以上であった個体は一定期間19℃の高水温で飼育したため成長に有利な条件ではあったが、その後約1年で平均殻長66.5〜71.2mmになり、養殖用種苗として適していることが示された。3)平板飼育期間におけるF3の生残率は、幼生の着底前後の短期間に生じたと思われる斃死により低くなる傾向があった。また、他グループにくらべ殻長のバラつきが大きく、早成長の個体も多いが、成長の遅い個体も数多く存在し、有害遺伝子の顕在化が懸念された。ただし、早成長の個体については飼育期間を通して成長および生残に大きな弊害は認められなかったため、養殖用種苗として利用できるものと考えられた。4)F2と天然貝の交配群について、成長が非選抜群よりも優れ、平板期間の生残が良く成長のバラつきが小さかったことから系統間交雑の有効性が示唆された。
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