過酸化水素の反復処理によるサケマス卵の水カビ病防除効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
サケマス卵のミズカビ病防除剤としての過酸化水素製剤の実用化を目的とし、過酸化水素製剤に対する各魚種卵の感受性および処理方法(濃度・時間)と有効性について検討した。1)in vitroで過酸化水素溶液の菌糸発育阻止濃度を検討した結果、30分処理で900〜1200ppm、1時間処理では600ppmで菌糸発育阻止効果が認められた。2)サケマス類の卵は魚種によって過酸化水素に対する抵抗性が異なり、ニジマス、ヤマメ、イワナ、ギンザケは比較的強いが、シロサケは弱いことが明らかとなった。3)受精卵および発眼卵の1回浸漬の結果のみで、卵に対する過酸化水素の安全性を評価することは困難であり、受精から発眼期まで薬浴処理した上で、安全性を評価する必要がある。4)1500〜7400粒収容したイワナ卵とギンザケ卵、2300粒と83000粒収容したシロサケ卵のふ化槽を用いて、流水滴下法と薬液循環法で過酸化水素の臨床試験を実施した結果、イワナでは循環900、1200ppm、流水600、900ppm、ギンザケは流水900ppm、1200ppm、循環900ppmで有効性が確認された。シロサケでは2300粒収容した場合は、循環600ppm、流水600ppmで有効であったが、83000粒収容した場合はいずれも無効であった。5)ふ化槽に数万〜数10万の卵を収容しているふ化場では、安全濃度と有効濃度を1時間程度維持しながら薬液循環法により過酸化水素薬浴を行うことは難しく、定量ポンプを用いた流水滴下法を検討すべきである。
- 宮城県水産研究開発センターの論文
- 2009-03-00
宮城県水産研究開発センター | 論文
- 仙台湾におけるマアナゴConger myriaster (Brevoort)の加入水準と漁獲量の関係
- 仙台湾におけるマコガレイ親魚の保護による資源管理
- 七つ森湖におけるオオクチバス,コクチバスの出現と魚類相の変化
- 七つ森湖におけるオオクチバス,コクチバスの分布,繁殖および食性
- 伊豆沼・内沼におけるオオクチバスの出現と定置網魚種組成の変化