55年生実生スギにおける圧縮強さ及びせん断強さの未成熟材と成熟材の違い
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概要
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スギ(Cryptomeria japonica D. Don)は我が国に広く植栽されている主要樹種の一つである。近年、スギ人工林の伐期は長期化する傾向にある。そのため、今後、スギ材を有効利用するためには、高齢級の林分から得られたスギ材の木材性質を明らかにする必要がある。本研究では、林齢55年生の実生スギを用いて、木材性質(ミクロフィブリル傾角MFA、気乾密度ρ)及び力学的性質(縦圧縮強さσ、せん断強さτ)の半径方向変動を調査した。また、得られた結果から、これらの性質における未成熟材と成熟材の違いについて考察した。未成熟材と成熟材を比較した場合、τにおいて有意差が認められたが、σにおいては認められなかった。σにおいては、未成熟材及び成熟材ともにρと高い正の相関関係が認められた。さらに、多重回帰分析の結果から、未成熟材のσは、MFA及びρに影響を受けていることが示唆された。一方、τにおいては、未成熟材においてρとの間に正の相関関係が認められたが、成熟材においては認められず、また、未成熟材及び成熟材ともにτは、MFAとの間に有意な相関関係を示さなかった。以上の結果から、未成熟材と成熟材では、それぞれの力学的性質に及ぼす木材性質が異なっていることが示唆された。
- 宇都宮大学農学部の論文
- 2009-03-00
宇都宮大学農学部 | 論文
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