福岡県の樹園地におけるリン酸およびカリウムの施用実態と土壌化学性との関係
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概要
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1999〜2007年に福岡県の樹園地を対象として実施した定点調査の結果から、土壌化学性の実態を明らかにし、さらに、リン酸(P2O5)およびカリウム(K2O)の施用量と養分集積量との関係について若干の知見を得た。家畜ふん堆肥等有機質資材(以下、有機質資材)を施用した園において施肥量に有機質資材中の有効成分量の推定値を加えた総施肥量の概算値は、リン酸およびカリウムが施肥基準量の平均値に比べて1.3倍および1.2倍多かった。可給態リン酸含量の平均値は154mg/100g(5〜428mg/100g)であり、土壌改善目標値の20〜50mg/100gに比べてかなり多かった。有機質資材施用地点ではリン酸総施肥量が特に多く、それに伴って可給態リン酸が多量に集積した傾向がみられたものの、経年的にはリン酸総施肥量の減少傾向に対応して低下する傾向がみられた。交換性カリウム含量は約20%の地点において過剰傾向がみられたが、平均値は46.2mg/100gで全国平均の60.2mg/100gを下回った。有機質資材施用地点におけるカリウム総施肥量は無施用地点に比べて多いものの、交換性カリウム含量に及ぼす影響は判然としなかった。以上のことから、本県の樹園地では有機質資材の施用により可給態リン酸が過剰となり、また、一部の地点で交換性カリウムの過剰傾向がみられた。このような園においてはリン酸およびカリウム施肥量の大幅な削減が可能と考えられる。
- 福岡県農業総合試験場の論文
福岡県農業総合試験場 | 論文
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