ワタアブラムシを使ったショクガタマバエ(双翅目:タマバエ科)の簡易飼育法
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概要
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ショクガタマバエはアブラムシ類の生物的防除資材として、わが国では1998年に登録され、農作物の施設栽培を中心に利用されている。しかし、国内での本種の飼育法は確立されておらず、現在は、海外で大量飼育された本種の繭が輸入されている。そのため、日本産ショクガタマバエの基礎生態や生物的防除資材としての評価に関する知見は非常に少ない。そこで、本研究では、日本産ショクガタマバエの飼育法の確立を目的に、(1)成虫の産卵期間と得られる終齢幼虫数の関係;(2)ショクガタマバエの終齢幼虫の回収方法;(3)蛹化のために最適な培地素材を明らかにした。その結果、(1)ショクガタマバエの成虫に24時間、産卵の機会を与えた場合、1株のナス苗から得られる終齢幼虫は平均111頭であった。このうち約60%の個体は、蛹化のために終齢幼虫が植物上から落下し始めてから2日間で回収できた。したがって、飼育操作において、幼虫の回収期間は2日間に設定するのが最適であると考えられた。(2)終齢幼虫は水中で保存することが可能であり、保存期間が72時間以内であれば、成虫の羽化率は60%以上であった。このため、回収作業として、終齢幼虫が植物体から落下し始めてから2日間は水中で保存し、まとめて回収すれば効率的であると考えられた。(3)蛹化のための培地素材としてはピートモスあるいは川砂が適しており、羽化率はいずれも70%以上であった。以上の知見に基づき、ショクガタマバエの飼育法を検討した。
- 農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センターの論文
- 2008-03-00
農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター | 論文
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