漁具形状へのカテナリー理論適用についての一考察
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概要
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延縄漁業においては、漁獲対象魚種に応じて針をどれだけの水深に設置するかが重要になる。海面の浮子から幹縄まで("浮縄")の長さや、幹縄に付けられた枝縄(針部分も含める)の長さは決められているから、結局この問題は、幹縄の水中形状の把握に換言できる。基本的な場合として、海流の影響を受けていない幹縄の水中形状をカテナリーとみなすことは異論がないことだろう。ただ、カテナリーの式には双曲線関数が含まれていることから、吉原はカテナリーの式を変形し、短縮率(2つの浮子間の距離と幹縄長の比)を基にした数表を用いて幹縄の水中形状(幹縄水深)を求めた。その後の延縄の幹縄水深に関した研究では吉原の式がもっぱら使われてきた。カテナリーは単に延縄の幹縄形状を示すだけでなく、曳網の曳網索およびグランドロープ、あるいは浮体の係留索の形状を近似できるものと考えられ、漁具力学において応用範囲の広いものである。本論文では、延縄の幹縄水深の計算法に加えて、曳網索にカテナリー理論を適用した場合の、網水深や所要水深設定のための曳網索長を計算する方法も示した。前述のごとく、これらの計算は関数電卓を用いることにより、非常に簡単に机上計算が可能である。本論文が漁具力学に関する教育の場においてのカテナリー計算の普及にも貢献できることを願うものである。
- 水産大学校の論文
- 2008-03-00