アユ養殖場における冷水病対策(1)河川水および養殖池注水からの冷水病の感染経路の解明
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概要
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近年、我が国の河川、養殖現場においてアユの冷水病が流行しており、天然水域において、平成3年から平成10年の間にアユ冷水病の発生件数が約12倍に増加し、それ以降も発生件数が持続し現在に至っている。また、アユ養殖場は全国に約400あるが、その40〜50%で毎年冷水病が発生しており、アユ産業は甚大な被害を受けている。冷水病は、元来、北米に発生したマスやサケの病気で、グラム陰性長桿菌のFlavobacterium phychrophilumを原因菌とした細菌感染症である。低水温5℃で稚魚に発生し死亡率が高いために冷水病と呼ばれるようになった。しかし、アユの冷水病は低水温(5℃)ではほとんど発生せず、16℃〜20℃が発症水温となっており、また稚魚・成魚にかかわらず発生する。そのため、マス類の冷水病菌とは病原体が異なると考えられている。本研究は冷水病の感染経路を解明することを目的とし、注水中の冷水病原因菌(以下、冷水病菌と略す)の存在を明らかにするために、河川水および注水における冷水病菌の検出を行った。各検体(以下、サンプル水と略す)を濾過し、フィルターに冷水病菌をトラップさせ、PCR法で検出を行なったところ、河川・注水ともにほぼ1年間を通して冷水病菌が検出された。
- 水産大学校の論文