信州大学農学部附属AFC演習林におけるショウジョウバエ群集の成層構造
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概要
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中部山岳域の3種類の森林内で、ショウジョウバエ群集がどのような成層構造を形成しているかを調査した。調査は信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)構内ステーション演習林内の人工林と、同西駒ステーション演習林内の渓流沿いの落葉広葉樹林と亜高山性針葉樹林で行った。それぞれの調査地では、林の階層構造を考慮して、林床から樹冠頭頂部までの空間内に垂直に4ヶ所トラップを設置しショウジョウバエを採集した。その結果、森林内のショウジョウバエ群集は、樹冠周辺の上層に多い集団と林床周辺の下層に多い集団に大別することができたが、森林の種類によってそれぞれの集団を形成するショウジョウバエの優占種は異なっていた。人工林と広葉樹林では、樹冠周辺部で数多く採集されたショウジョウバエが優占種となっていた。従って、森林のショウジョウバエ群集をより包括的にとらえていくためには、三次元的な環境の異質構造に基づく調査が重要であるように思われた。また、西駒ステーション演習林内の広葉樹林と針葉樹林では人家性ショウジョウバエが採集されていないことから、人為的な影響はあまり及んでいないものと思われた。ただし、最近長野県へ侵入してきた南方系のアカショウジョウバエ(Drsophila albomicans)が構内ステーションで採集されているので、このショウジョウバエの今後の分布の拡大や自然環境への侵入状況については注意していく必要ある。
- 信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センターの論文
- 2006-03-00
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター | 論文
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