【書評論文】中西準子『環境リスク学:不安の海の羅針盤』日本評論社、東京、2004年、pp.259、ISBN 4-535-58409-5、1,800円+税
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概要
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本稿では、『環境リスク学』のタイトルにある「リスク」の定義の多様性を紹介し、著者の「リスク」の位置づけを探る。次に本書の構成や初出をしながら、本書の特徴をおさえる。その後、著者の研究史や現在のリスク評価研究の要点を1章、2章を中心に把握する。著者の約40年にわたる研究史をみていくと、全体を通じて研究の世界や社会に大きく波紋を投げた内容の連続であることがわかる。ただ、著者が「舵をきった」というように研究内容は変質している。研究者になりはじめた当初から約30年間は、徹底的にファクトにこだわった下水道処理場の重金属分析、流域下水道の不経済性指標の提案などがなされた。それに対してここ10年ほどは仮定や予測をふまえた環境リスク評価研究がなされている。このような研究史をおさえたうえで、環境リスク評価研究の成果のうち、損失余命、質調整生存率、時間特質法という指標について内容を概観するとともに、著者自身が挙げる限界、それ以外の問題点を紹介していく。
- 千葉大学大学院社会文化科学研究科の論文
- 2006-03-15
千葉大学大学院社会文化科学研究科 | 論文
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