ヒュームの正義論において中心的役割を果す「共感」の概念
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概要
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「共感(sympathy)」とは、ある種の感情が発生する原理であり、この原理は、デヴィッド・ヒュームの思想、とりわけ道徳論・正義論において非常に重要な役割を担っている。というのも、ヒュームの論述は常に反理性主義の形式を採っており、その道徳理論は、理性・知性へというよりは、むしろ感情・情念の方へと傾斜している印象が常に付随しているのだが、多種多様であるはずの情念が、どのように統合的な道徳規範へと収斂してゆくのかを、理性主義とは異なる形で説明しようとしたのも、またヒューム思想の特徴である。ヒュームの道徳感情論と共感の原理は、こうした試みにおいて非常に重要なものである一方、共感とそれに関わる正義論そのものは、同世代の道徳感情論の大家であるアダム・スミスのそれとは趣を大きく異にしている。以下では、両者を対比させながら、それぞれの正義論とそこに関わる共感原理を考察し、共通点と相違点を明らかにしてゆきたい。そこで明らかになった差異のもと、ヒュームの共感原理と正義概念が、反理性主義を維持しつつ、どのように正義を構築しているものであるのか確認してゆきたい。
- 千葉大学大学院社会文化科学研究科の論文
- 2006-03-00
千葉大学大学院社会文化科学研究科 | 論文
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