螢光を用いた胎便吸引症候群(MAS)の特異的診断法に関する研究
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概要
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従来, 胎便吸引症候群(MAS)の診断には臨床所見, 胸部X線撮影所見とともにUrinary Meconium Index (UMI)が用いられてきたが, UMIでは偽陽性率が高く, さらに精度の高い測定法の開発が必要であった. われわれはすでに405nmの励起光に対して580nmと630nmに螢光ピークを有するZn-コプロポルフィリン(Zn-CP)が胎便中に存在し, 一方620nmに螢光ピークを有するZnを含まぬコプロポルフィリン(CP)が胎児尿や羊水中に認められることを明らかにしてきた. 新生児の尿中にZn-CPの580nmの螢光ピークを検出し, そのピークの螢光強度を測定することによりMASの診断が可能かどうか検討した. その際, 従来MASの補助診断として用いられてきたUMIを模して, 新しい指標Urinary Fluorescence Meconium Index(UFMI)=F_<580>-(F_<560>+F_<600>)/2[F:螢光強度]を定義した. I群:出生時羊水混濁を認め, 明らかに臨床的にMASと診断された症例(n=3), II群:臨床的にMASと診断されないが, 出生時羊水混濁を認めた症例(n=18), III群:出生時羊水混濁を認めず, 臨床的にもMASと診断されない症例(n=25)の3群の新生児より, 生後24時間以内に尿を採取し, UFMIおよびUMIを測定し, 比較検討した. 測定の結果, UMI値は3群間でオーバーラップし, 胎便成分の検出には特異的でなく, 一方UFMI値は3群間で有意差をもって解離し, 新生児の臨床症状とも一致していた. その理由はUMI では胎便成分のZn-CPとともに胎児尿成分であるCPの吸光を測定しているが, UFMIでは胎便に特異的なZn-CPのみを螢光測定している点にある. よって, UMIと比較して, UFMIがより有効なMASの診断法となることが判明した.rights: 社団法人 日本産科婦人科学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation:isVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110002105728/
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1990-07-01
社団法人 日本産科婦人科学会 | 論文
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