妊娠時頚管ポリープと頚管粘液顆粒球エラスターゼ活性との関連
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概要
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頚管粘液顆粒球エラスターゼ (エラスターゼ) 活性および頚管粘液白血球数を妊娠中期の頚管ポリープ例(N=46)と非ポリープ例(N=53)について測定した. エラスターゼはポリープ群で86±44U/l, 非ポリープ群は22±13U/lでポリープ群が有意 (p < 0.01) に高値を示した. 白血球数はポリープ群1,600±450/mm^3に対し非ポリープ群は600±100/mm^3であった (p < 0.05). さらにポリープ群をポリープ切除群 (N=21) とポリープ放置群 (N=25) に分けて分析すると, 切除1週後にはエラスターゼ活性は87±49U/lから44±24U/lとなり (p < 0.05), 白血球数は1,600±500/mm^3から1,150±400/mm^3となり切除前に比較し低値となった. 一方放置群は診断時から1週後のエラスターゼ活性89±47U/l,白血球数1,650±450/mm^3で変化を認めなかった. 切除したポリープをエラスターゼ抗体を用い免疫組織染色を行った. エラスターゼの染色弱陽性群の頚管粘液エラスターゼ値は46±26U/l, 陽性群は89±31U/l, 強陽性群は114±36U/lでエラスターゼの染色性の強いものほど頚管粘液エラスターゼ活性が高値を示した. また顆粒球がポリープの間質から頚管内腔へ遊走している像が散見された. 頚管ポリープが存在すると頚管粘液エラスターゼ活性上昇が認められること, およびポリープに広範囲のエラスターゼの局在が見られたことから頚管ポリープは炎症のフォーカスと考えられた. 頚管ポリープ切除によりエラスターゼ活性, 頚管内白血球数が有意に低下することが認められた. 予後について絨毛羊膜炎の発生頻度は非ポリープ群では5例 (9%), ポリープ切除群では3例 (14%), ポリープ放置群では10例 (40%) であった. 非ポリープ群, ポリープ切除群と比較しポリープ放置群が有意に絨毛羊膜炎の発生が高値であった. 以上より, 上行感染, 絨毛羊膜炎の予防のため,妊娠中の頚管ポリープは切除あるいは局所の炎症・感染に対する治療が必要と考えられた.rights: 社団法人 日本産科婦人科学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation:isVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110002230394/
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1991-01-01
社団法人 日本産科婦人科学会 | 論文
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