卵巣癌腫瘍マーカーとしてのD-dimer測定の意義
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概要
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Fibrin degradation products (FDP)の1分画であるD-dimerが卵巣癌に対する腫瘍マーカーとして有用であるか否かを検討した. 血清D-dimer値ほは健常非妊婦人237±212ng/ml(N=66), 良性子宮腫瘍248±141ng/ml(N=15), 良性卵巣腫瘍299±248ng/ml(N=26), 卵巣癌721±423ng/ml(N=28)であり卵巣癌で有意にD-dimerが高値をとった. 卵巣癌の組織型別D-dimer値は漿液性嚢胞腺癌840±359ng/ml(N=13), 粘液性嚢胞腺癌710±448ng/ml(N=8), その他723±340ng/ml(N=7)であり, 組織型に関係なく高値であった. cut off値を400ng/mlとすると, 卵巣癌における陽性率は79%であった. これに対してCA125, TPA, SLXおよびCEAの陽性率は, それぞれ72%, 41%, 60%および9%であった. 臨床進行期別のD-dimer, CA125陽性率は, それぞれI期50%, 80%, II期88%, 67%, III期86%, 71%, IV期80%, 60%であり, D-dimerの陽性率はI期ではCA125よりも低かったがII期以上ではCA125よりも高値を示した. 卵巣癌患者におけるD-dimerと他の腫瘍マーカーとの相関関係は, CA125 R=0.476, TPA R=0.376, SLX R=0.226, CEA R=-0.292で, CA125との間に弱い相関を認めたが他のマーカーとの相関関係は認められなかった. 以上から, D-dimerは卵巣癌腫瘍マーカーとして有用であることが判明した.rights: 社団法人 日本産科婦人科学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation:isVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110002106069/
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1991-05-01
社団法人 日本産科婦人科学会 | 論文
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