ムチン母核構造を認識する抗体TKH-2を用いた羊水塞栓症の新しい病理学的診断法
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概要
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ムチン母核構造を認識する5種類のモノクローナル抗体TKH-2, MA54, MA61, B72.3及びCC49を用い, 胎児小腸のムチンに対する免疫染色の染色性を比較検討した結果, TKH-2抗体が最も染色性がよいことが確認された. また, この抗体を用いたムチン染色は, パラフィン切片における染色性も良好であることが確認された. そこで, この抗体TKH-2を用いた羊水塞栓症の病理診断に関する新しい染色法の有用性を動物実験モデルにおいて検討した. 10%胎便懸濁液を作成し, これを日本白色種ウサギの耳静脈より1ml/kgの割合でone shot静注した. 静注1, 2, 4, 8, 12及び24時間後に肺, 腎臓及び肝臓を摘出し, 抗体TKH-2を用いたStreptavidin Biotin Complex法にて免疫染色を行った. その結果, 肺小動脈内, 肺静脈内, 肝臓門脈内にTKH-2抗体により染色されたムチンが認められた. この免疫染色により, 病理学的にムチンが肺や肝臓の末梢血管内に局在していることを診断することが可能であった. 同部位の連続切片にてアルシャンブルー染色と比較検討したところ, アルシャンブルー染色陽性部位はすべてTKH-2染色陽性であった. また, アルシャンブルー染色陰性部位にもTKH-2染色が弱陽性の部位が存在し, 従来のアルシャンブルー染色より感度がよいことが確認された. 一方, ヘマトキシリンエオジン染色ではムチンの存在は全く診断されなかった. 以上よりTKH-2抗体を用いた免疫染色は, 羊水塞栓症の病理学的診断に有用なことが示唆された.rights: 社団法人 日本産科婦人科学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation:isVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110002152910/
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1993-05-01
社団法人 日本産科婦人科学会 | 論文
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