離婚の子どもに与える影響--事例分析を通して
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概要
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わが国における2001年の離婚率は、1972年と比べると2倍以上になっている。しかもこうした傾向は今後も続いていくものと予測されている。また結婚5年未満での離婚件数が全体の4割に近く、かつ母親が全児に対して親権者になる割合はほぼ8割である。離婚は、時に子どもにとって、暴力的あるいは葛藤の高い家庭からの救済にもなりうることはもちろんであるが、離婚後に悪条件が揃うと、離婚の子どもに与える精神的・身体的影響は、非常に長期にわたり、かつ深刻なものとなること、また、複数同胞の場合には、その影響はそれぞれ違うことが先行研究によって明らかになってきている。本稿は、筆者の自験4事例の分析を通して、離婚前後の種々の媒介変数の違い:結婚中のストレス度、離婚後の監護親の適応状態、子どもの年齢、性別、性格、監護親と非監護親の関係性、サポ-トの程度等によって、離婚家庭の子どもたちがどのような適応の軌跡を描いていくのかを考察する。その分析の結果からは、両親の離婚に対する子どもたちの反応は、決して単純なものではなくて複雑かつ重層的なものであることが示唆された。In 2001 the divorce rate in Japan has reached more than double the level of 1972. This trend is predicted to continue unabated in the future. Nearly 40% of cases take place within 5 years into marriage and in about 80% the mother gains custody of all children. Although in some cases a parents' divorce may be a relief for children from a highly violent and conflict-ridden home, studies show that if adverse conditions coincide, children suffer from prolonged and severe psychological and physical effects—with outcomes being different for each sibling. In this paper the author shows through 4 case analyses how the different mediating factors before and after a divorce—the level of stress during marriage, the level of adaptation by the custodial parent, the age, sex and personality of the child, the relationship between the custodial and non-custodial parents, and the level of support—affect the trajectory each child of divorce takes. The analyses suggest that the responses of children to parents' divorce are not simple but complex and multi-layered.
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