近代国民道徳としての「武士」認識 : 軍国国家形成の前提
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概要
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日本人一般はアジア・太平洋戦争について、その悲惨さは認識しているが、なぜそのようなことになってしまったのかということを真剣に考える姿勢が見えない。このノートは国民が軍国体制にからめとられていく背景として、誤った「武士」認識が近代国家の教育によって国民に注入されたことを論じ、そのような認識が今日に至っても払拭されていないことを問題にしたものである。まず、武士の成立に遡ってその実像を明らかにするとともに、東アジア的な視点から、王朝権力とは別のところに成立した武人政権が長く継続した日本の歴史の在り方を不幸で例外的なものと見る。ついで日本人一般に見られる武土賛美がもたらす諸問題を指摘する。そして、近代の日本国家が国民全体を武士的な精神で統合するために、どのような教育手段を用いたのかを具体的に提示し、戦前への回帰の方向に向かいつつある今日、その克服のために科学的な成果に基づく歴史教育の重要性を説く。In this paper, I shall argue that in the wartime Japanese educational authorities implanted incorrect 'Bushi' conception in Japanese people, and that this incorrect conception has not been wiped out yet. First, I will show the original state of `Bushi' and that the Japanese history, large part of which was governed by military regimes, was unhappy and exceptional one from the East-Asian point of view. Secondly, I will examine several problems caused by universal admiration of Bushi ethic. Lastly, I will show how the modern nation has educated people in order to implant Bushi spirits in their breast, and argue for the importance of education of scientific history.
- 京都女子大学現代社会学部の論文
- 2001-03-30
京都女子大学現代社会学部 | 論文
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