葛藤場面における「困窮者を援助しない」理由分類の試み : 道徳判断水準からの検討
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概要
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本研究の目的は,向社会的葛藤場面における「援助しない」理由を道徳判断水準の観点から分類を試みることであった。小学生172名( 4 年生83名, 6 年生89名),大学生90名に質問紙を配布し, 3 つの向社会的葛藤場面に関する質問を行った。ある状況において困っている友人に対して,「直接的援助」・「間接的援助」・「非表出的援助」のうち,非表出的援助を「一番よい」とする選択する理由について自由記述を求め,得られた回答をEisenberg(1979)に従って分類した。その結果,具体的援助が生起する理由について分類を行った先行研究(宗方・二宮,1985など)と同様に,5 つの段階がみられることが確認された。顕在的な援助行動が生起する場合の判断水準と同様,小学校中学年・高学年および大学生のすべての段階において,レベルⅣ(共感的志向)へ多数の回答が分類された。また,大学生にのみレベルⅤ(強く内在化された段階)が見られ,援助の適切性に関する規範や,他者の意志尊重などがみられた。このことから,外部から具体的な援助が確認できない場合にも,向社会的理由があることが示唆された。
- 大阪大学大学院人間科学研究科教育学系の論文
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系 | 論文
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