我が国で育成された醸造用二条オオムギ品種・系統の家系分析
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概要
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公的機関と民間機関で育成された二条オオムギ品種・系統について世代数と祖先数等に基づく家系分析を行った。オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子を導入した時期には、総祖先数が増加した。しかし、水稲における同様の家系分析の結果と比較すると重複する品種を除いた祖先数が少なく、二条オオムギの遺伝的多様性は小さいと推察された。遺伝的に遠縁なオオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子を導入した品種・系統の祖先数は多かった。家系分析で得られた近縁係数を基にクラスター分析し、デンドログラムを作成した結果、古い時代に育成された品種・系統は1つのクラスターに含まれ、そのクラスター内で育成地毎の分類が可能であったが、近年育成の品種・系統は異なるクラスターに分類できなかった。キリンビール社育成の品種・系統は2つのクラスターに集中した。今後、遺伝的な多様性を維持しつつオオムギの品種育成をするには単独の育成地に止まらず、複数の育成地の品種・系統について家系分析を実施しながら交配計画を立てることが望ましいと考えられた。また、クラスター分析の結果から、各育成地とも遺伝的多様性が限定されていると考えられる。現在求められている温暖化による環境適応性や高付加価値を持つ品種を育成するためには、オオムギ研究で実績のある研究機関との連携や醸造用二条オオムギ特有の育成系統合同比較試験制度を有効に活用しつつ、効率的に新たな遺伝変異の導入を図るべきであると考える。
- 日本作物學會の論文
- 2010-01-00
日本作物學會 | 論文
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