地域農業の組織化における飼料イネ導入の意義
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概要
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飼料用イネ(以下、飼料イネ)は、排水等の条件がやや劣る圃場でも栽培が可能であり、この点では中山間地域に適する転作作物とされる。導入効果として、耕種部門での遊休農地の発生抑制、畜産部門での自給飼料基盤の拡大、また耕畜連携による堆肥の循環が期待されている。他方、飼料イネの収穫調製では専用機械の導入か作業委託が必要となる。1千万円を超える機械整備では、更新を前提とする場合、相応する稼働面積の確保が必要となる。これより、中山間地域での導入では、耕種部門における連携や組織化が不可欠となる。換言すれば、導入効果としての地域農業の組織化を期待しうる。例えば、仮に必要面積を15haとした場合、水田面積20ha規模の集落で、転作率40%とし、その半分に飼料イネを作付けるとすれば、4集落分に相当する連携・組織化が必要となる。収穫調製に係わる地域農業の組織化では、鳥取県東部におけるT畜産農協によるコントラクタ組織の創設という、農業協同組合や農業公社が主導する行政区域を越えた広域型の取り組みと、広島県旧O町(以下、O町)における生産組合の設立という、旧町村範囲のリーダー層が主導する行政区域型の取り組みを典型事例として想定しうる。本稿では、以下、後者のO町を対象事例に、飼料イネの導入を一つの契機とする地域農業の組織化の進展過程を整理し、そこでの飼料イネ導入の意義を検討する。あわせて組織化を促進する条件もしくは成立させる条件の部分的抽出を試みる。
- 富民協会の論文
- 2008-06-00
富民協会 | 論文
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