宿主-病原菌関係の進化 I
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概要
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寄生性の進化は原核生物から始まった.初めての真核生物は微生物に対して抵抗性であり,その後植物の進化にともなって病原菌の進化,植物側の新しい抵抗性の獲得を繰り返しながら共進化を続けたものと考えられる.少なくとも細胞壁の形成,リグニンの生成,地上での直立が可能になった時期に非特異的真性抵抗性が生じたものと考えられる.最初の寄生性は潜在的病原菌が毒素生成能力を獲得し,宿主細胞を殺すことにより生じた.この毒素生成能力の向上とともに宿主の過剰な死により病原菌はかえってその生存を脅かされることになったが,宿主の抵抗性の増加とときには病原菌の中での抑制作用の発達により侵入菌糸の生長は抑制され,初めの死細胞への細胞内伸長は抑制され最後には細胞内に吸器として留まり,菌糸は細胞間あるいは表皮上を走るようになった.付着器は最初は根の上で形成され,感染褥の形をしていたがやがて一つの菌糸で付着する能力を獲得し,単一の菌糸で付着するようになった.
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