マウス卵におけるhisone deaceylase 4の発現
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概要
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卵形成は配偶子を作り、ゲノム情報を次世代へと引き継いでいく上で極めて重要な過程である。この過程では、ゲノム情報は安定に維持されているが、発現する遺伝子は大きく変化している。また、ゲノムリモデリングもこの時期に引き起こされていると考えられている。ヒストンアセチル化は卵形成の過程で大きく変化していくことが明らかにされており、ゲノムリモデリングとの関連が示唆されている。このヒストンアセチル化の変化の機構を明らかにするため、未受精卵と受精卵の間でサブトラクション法を用い、ヒストンアセチル化制御に関わる遺伝子を探索した。その結果、限定された組織のみで発現することが知られるhisone deaceylase 4(HDAC4)が単離された。HDAC4は成長卵(fully grown oocye; FGO)から未受精卵にかけて発現し、それ以降は減少していく事がR-PCRにより示された。また免疫染色法によりHDAC4蛋白質の検出を行った結果、FGOでのみ核に局在が確認された。一般にHDACはヒストンを脱アセチル化し、転写を負に制御することが知られているが、HDAC4はヒストンが高度にアセチル化されることが知られているFGO特異的に局在が見られた。この結果はHDAC4がヒストン以外のタンパク質を基質とし、転写制御以外の機能を有していることを示唆している。この可能性を検証するため、我々はHDAC4と共訳してDNAダメージ修復に働くp53BP1の発現をR-PCRにより調べた。その結果、HDAC4と類似した発現パターンが確認された。これらの結果は、HDAC4がFGO中でp53BP1と共役してDNA修復機構に関わって、配偶子のゲノム情報維持に重要な役割を担っていることを示唆するものである。
- Japanese Society of Animal Reproductionの論文
- 2006-02-00
Japanese Society of Animal Reproduction | 論文
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