乳清酸性タンパク質(WAP)はマウスおよびヒトの乳癌細胞(MMT,MCF-7)の増殖を抑制する
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概要
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乳清酸性タンパク質(WAP)は、げっ歯類、ブタ、有袋類などの乳汁に含まれる主要な乳清タンパク質の一種である。我々はこれまでに、WAPが正常乳腺上皮細胞(HC11およびEpH4/K6)の増殖に対し抑制作用を示すことを報告した。今回マウスWAPがマウス乳癌細胞株(MM)およびヒト乳癌細胞株(MCF-7)に対しても細胞増殖抑制作用を示すことを報告する。先ず、WAP遺伝子を安定して発現するWAP-MMとWAP-MCF-7を樹立し、これらの乳癌細胞に対するWAPの作用を調べた。細胞培養後経時的に生細胞数を計測したところ、培養48時間以後、両WAP発現細胞株の増殖が野生株に比較して有意に抑制された。つぎに、FACScanを用いて細胞周期を解析したところ、野生株に比べWAP発現株でG0/G1期の細胞集団の多いことが認められた。さらに、G1期サイクリンであるサイクリンD群(D1,D2,D3)およびサイクリンEの発現を半定量的R-PCRにより調べた結果、WAP発現株において、サイクリンD1の発現が有意に抑制されていた。以上の結果から、WAPはサイクリンD1の発現制御を介して乳癌細胞の増殖を抑制することが明らかになった。
- Japanese Society of Animal Reproductionの論文
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