ウシ卵管上皮細胞が分泌する可溶型N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生殖の維持には細胞-細胞間および細胞-基質間相互作用が不可欠であり、それらの認識機構には細胞表面に存在する糖タンパク質のN型糖鎖が重要な役割を果たしている。本実験では、卵胞期に採取したウシ卵管上皮細胞を培養し、その培養液から糖タンパク質N-型糖鎖のオリゴマンノースタイプからコンプレックスタイプおよびハイブリットタイプヘの変換の第一段階を触媒するN-アセチルグルコサミニルトランスフェラ-ゼI(Gn I)活性を検出した。このGn I活性は、卵管上皮細胞をlueinizing hormone (LH;10 ng/ml)で24時間刺激すると僅かに上昇したが、LH+17β-esradiol(E2;1 ng/ml)で刺激するとさらに大きく上昇した。同様に、umor necrosis facor(NF)αあるいはvascular endohelial growh facor(VEGF)で刺激した場合にも活性が大きく上昇した。以上の結果から、ウシ卵管上皮細胞は培養条件下でGn Iを分泌することが初めて示された。さらに、卵胞期から排卵期に活発になる内分泌因子(LH、E2)や卵管内局所因子(NFα、VEGF)が培養卵管上皮細胞からのGn Iの分泌を刺激することから、生体内でのウシ卵管液中のGn I活性は排卵前後に著しく上昇するものと考えられた。すなわち排卵期に上昇したウシ卵管液中のGn I活性が、細胞外グリコシル化を促進し、このことが受精や初期胚の発生に適した卵管内微環境を整えるのに寄与していることが推察された。
- Japanese Society of Animal Reproductionの論文
- 2005-04-00
Japanese Society of Animal Reproduction | 論文
- 人工胎盤によるヤギ胎仔の灌流培養 (1994年度家畜繁殖学会シンポジウム)
- PZM-3あるいはウシ胎児血清を添加したPZMにおけるブタ単為発生胚および体外受精胚の発生
- Hatanoラットの生殖研究への応用 (特集 生殖研究モデルラット--疾患モデルラットホームページ掲載系統から)
- 黒毛和種供胚牛の分娩をはさんだ反復過剰排卵処理
- 黒毛和種の卵胞刺激ホルモンを用いた過剰排卵処理に対する供胚牛の産次の影響