発情周期中およびプロスタグランジンF2α投与後のウシ黄体内でのアンジオポエチンと受容体TieのmRNA発現の変化
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概要
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黄体における血管の新生と退縮が、黄体機能に関与することが知られている。近年、アンジオポエチン(ANP)とそのレセプターであるieが血管再構築を制御することが報告されている。本研究では、1.半定量的R-PCR法により、発情周期中およびプロスタグランジンF2α(PGF2α)投与により誘起した黄体退行中のウシ黄体におけるANP-1、ANP-2、ie1およびie2のmRNA発現の変化、および2.In viro microdialysisシステム(MDS)を用いて、ANP-2が後期黄体からのプロジェステロン(P4)の分泌に及ぼす影響について調べた。黄体は発情周期に基づき、4つのステージ(初期:Day 2-5、中期:Day 8-12、後期:Day 15-17、退行期:Day>18)に分類した。ANP-1のmRNA発現は、初期および退行期の黄体で、中期あるいは後期の黄体に比べ低かったが、ANP-2の発現は発情周期による差異はなかった。PGF2αにより誘起した退行中の黄体では、PGF2α投与後2時間目にANP-2が急速かつ一過性に増加した。ANP-1は、PGF2α投与後4時間目から減少し、その後低値を維持した。MDSを用いた実験では、ANP-2(100ng/ml)の灌流は、後期黄体からのP4分泌を急激に抑制した。以上の結果から、ウシ黄体におけるANP-1および-2の発現は、発情周期中の黄体のステージにより異なること、また、PGF2α投与による黄体退行過程において変化することが明らかになった。特に、黄体退行時におけるANP-1のmRNA発現の減少が、黄体の血管を不安定な状態に導き、その後の血管の退縮に関係すると考えられた。さらに、ANP-2が、黄体退行過程におけるP4分泌の制御因子として働いている可能性が示された。
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