ヒト由来チオレドキシン還元酵素のカルボキシル末端配列の酸化還元状態の半経験的分子軌道計算
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概要
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ヒトのチオレドキシン還元酵素(TrxR)のカルボキシル末端配列の酸化還元に伴うエンタルピー変化を計算した。半経験的分子軌道計算WinMOPAC 3.5Proを用いてモデルペプチド、N-Ac-Ser-Ile-Leu-Gln-Ala-Gly-X 1-X2-Glyの生成熟を算出した。X1、X2のアミノ酸配列は-SeCys-Cys-、-Cys-SeCys-、-SeCys-SeCys-、-Cys-Cys-のいずれかで、それぞれ酸化状態と還元状態を計算し、そのエンタルピー差を求めた。ハミルトニアンAM1とPM3は同じ傾向の計算結果を示し、セレノスルフィドまたはジセレニドを形成するペプチドは酸化状態でより安定化するのに対して-Cys-Cys-の配列を持つペプチドは還元形の方が安定であることを示した。ほ乳類のTrxRのSeCys498をCysに置換すると酵素活性が1%程度にまで低下することが報告されている。これは、変異酵素が-Cys497-Cys498-間で酸化的架橋を形成にくいからと考察されていたが、今回の分子軌道計算の結果は、この仮説を支持している。
- 岡山大學農學部の論文
- 2003-02-00