哺乳類における卵子特異的リンカーヒストン
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概要
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リンカーヒストンは、クロマチンDNAにおけるヌクレオソームコアパーティクル間を結ぶリンカーDNA部分に結合する蛋白である。このリンカーヒストンは、現在までに8種類のものが存在することが知られており、その発現パターンが組織特異的、細胞周期特異的あるいは一定の発生段階特異的であることが知られている。近年我々はマウスを用い卵巣特異的cDNAライブラリーを作成し、哺乳類で未発見であった卵子特異的リンカーヒストンH1ooを発見した。H1oo蛋白は、未成熟卵子(GVstage)、成熟卵子(Mllstage)の核および極体に発現していることが明らかとなった。また、受精直後の精子にはH1ooが認められないのに対して、受精卵内での精子の膨化が開始するとともにH1ooが精子頭部に取り込まれ、雌性・雄性前核および1細胞期の核に存在していることが明らかとなった。しかしながら、2細胞期以降は急速に消失し、4細胞期には第2極体にその存在が確認されるのみとなった。H1ooは、この受精に伴うreprogrammingがおこる時期に一致して受精卵の染色体に発現していた。卵子特異的リンカーヒストンは、卵細胞・配偶子における卵子型と配偶子型の遺伝子発現の制御に関与している可能性が示唆された。
- 日本哺乳動物卵子学会の論文
- 2002-10-00
日本哺乳動物卵子学会 | 論文
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