湛水条件下においてダイズの胚軸に形成される二次通気組織量の品種間差異
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概要
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湛水ストレスに対して適応性の高いダイズ品種を検索する目的で、ダイズ30品種を供試し、胚軸における二次通気組織の形成量と畑および湛水条件下での生育を調査した。水田土壌を充填したポットに播種し、初生葉展開時から適宜灌水して栽培する畑区および土壌表面まで湛水する湛水区の2処理区を設定し、処理開始後18日目に材料の採取を行った。その結果、湛水区における30品種平均の全乾物重および地上部、地下部別乾物重は畑区に比べていずれも小さく、湛水ストレスによって生育が抑制されたことが明らかであった。T/R比は湛水区で大きく、特に低酸素の影響を直接受ける地下部の抑制程度が大きかった。耐湿性程度(乾物重比=湛水区全乾物重/畑区全乾物重×100)は、最大はアソアオガリの101.26%、最小はトヨムスメの76.93%であったが、5%水準で品種間には有意差が認められず、品種間差異を検出するためには処理期間を長期に設定し、比較集団を大きくするなどの必要があると考えられた。一方、胚軸における二次通気組織の形成量はいずれの品種においても畑区に比べて湛水区で著しく大きく、品種間に有意差が認められたことから、育種的手法により二次通気組織の形成量の大きい品種育成の可能性が示唆された。また、本実験に供試した品種の中で、耐湿性程度が最も高かったアソアオガリは二次通気組織の形成量も極めて大きいことから、耐湿性の強いダイズを育成する上で有望な品種であると考えられた。
- 九州大学農学部附属農場の論文
- 2001-08-00
九州大学農学部附属農場 | 論文
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