成熟培地に添加したPI 3-kinase阻害剤,ワルトマニンは上皮成長因子添加培地で成熟させたウシ卵子の受精及び発生能を抑制する
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概要
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ウシCOCsの体外受精後の受精率と胚盤胞への発生率における上皮成長因子(EGF)の役割について検討した.その結果,成熟培地ヘのEGFの添加が正常受精率を促進した.EGFによるこの促進効果は,成熟培地へ添加された性腺刺激ホルモンと血清が及ぼす効果と似通っていた.一方,EGF添加培地で6時間培養後,EGFとPI3-kinase阻害剤であるワルトマニンとを共に添加した培地で成熟させた卵子においては,正常受精率が著しく低い値を示した.分割率,胚盤胞,および脱出胚盤胞への発生率は,成熟培地へのEGFの添加により向上した.性腺刺激ホルモンと血清を添加した培地で培養した卵子の分割率,胚盤胞,および脱出胚盤胞への発生率は,EGF添加培地で培養した卵子とほぼ同じであった.成熟培地へ添加されたワルトマニンは,EGFや性腺刺激ホルモンと血清が及ぼす分割率と発生率への促進効果を完全に消失させた.以上の結果から,ウシ卵子においては,EGFが細胞質の成熟に関与していること,この細胞質の成熟にはPI3-kinaseの活性化が必要であることが示唆された.
- 日本哺乳動物卵子学会の論文
- 2000-10-00
日本哺乳動物卵子学会 | 論文
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