ウシ卵子の体外成熟における上皮成長因子(EGF)とPI 3-kinase阻害剤,ワルトマニンの影響
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概要
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ウシ卵丘細胞卵子複合体(COCs)あるいは裸化卵子(DOs)をEGF添加培地またはEGFとPI3-kinase阻害剤であるワルトマニンを共に添加した培地で24時間培養した,EGFはCOCsとDOsの第二減数分裂中期(MII)への進行をともに促進させるが,この作用はワルトマニンにより完全に抑制された.COCsをワルトマニン無添加培地で2,4時間培養した後,ワルトマニン添加培地で培養した結果,卵子のMII率は36.2%,64.0%であったが,6時間後まで無添加培地で培養した卵子の76.4%がMIIに到達した.その値は,ワルトマニン無添加で24時間培養した卵子とほぼ同じであった.次に,COCsをEGF添加培地で2,4,6時間培養後,無添加培地で培養した結果,EGF添加培地で2時間培養した卵子ではMII率は著しく低かったが,4,6時間培養した卵子では,24時間EGF添加培地で培養した卵子とほぼ同じ高いMII率を示した.以上の結果から,EGFは卵子のPI3-kinaseを活性化することによりウシ卵子のMIIへの進行を促進させること,およびこのEGFの促進作用は培養開始4時間までの処理で十分であるが,PI3-kinaseの活性は培養開始後6時間まで必要であることが示された.
- 日本哺乳動物卵子学会の論文
- 2000-10-00
日本哺乳動物卵子学会 | 論文
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