島村抱月『新美辞学』の検討(三)
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概要
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本稿では、『新美辞学』(一九〇二)について、西欧及び中国・日本における修辞理論の成果の総括を踏まえつつ、日本語の言語表現の特性に即して「辞の美なる所以」を解明、言語表現の理論としての体系化を意企したその基本的構想、定義等について検討した前々稿、及び「詞藻」(figure)、「文体」(style)等の諸点から日本語の文章における修辞現象の特質の解明を試みたこの論の孕む問題性について考察、日本語文学及びその文字表現の基礎の一つとなった中国語文学の古典を博捜、在来的な「詞藻」(「修辞現象」)の分析を通して、修辞を最終的に決定する規範は「情」にあるとし、「詞藻」を統括するものとして「文体」を措定したこと、またそれによって「美と価値の基準」が、「自己」=個人に帰属(トドロフ)し、「文体」が各人によって決定される時代、即ち自然主義及びそれ以後の時代(言文一致という制度が確立した時代)における日本文学における言語表現の特質を明らかにする方向を開いたこと、等を指摘した前稿を受けて、第三編「美論」について検討することとした。『新美辞学』第一編、第二編では、主として日本の古典に材を取りながら、言語の美の具体的分析を通した「美」への客観的アプローチを試みてきた抱月が、ここで取り組んだ「情の活動」と「快楽」、「快楽」と「美」及び「道徳」、「美」と「道徳」等の関係の解明という主題について検討するのが、本論の課題である。
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