高齢者虐待の発生と親孝行文化
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概要
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2005年11月1日「高齢者虐待防止法」が成立し、翌2006年4月1日より施行され、施行後3年を目途に「見直し」されることになっている。見直しに向けて公にはほとんど議論されていないが検討されるべき課題の一つとして、現行法律名に導入された「養護者支援」の用語の是非がある。当初から「養護者」が法案検討に含まれていたわけではない。なぜなら、「養護者」を虐待の主体として位置づけることは「家族に介護負担を強いることにならないか」という疑問と同時に、家族による「介護放棄(ネグレクト)」は「介護義務を負う者による義務懈怠」として容認することになるからである。養護者支援の用語が含まれた背景には、家族の介護力を政策的に活用する政策意図のほか、日本的な老親と子との親孝行文化が基底にあると考える。そこで、本稿では伝統的親孝行文化を儒教国中国と儒教を取り入れた日本のそれとを比較検討し、わが国における「老親と子との同居」による「家庭内虐待の発生」要因を明らかにし、今後の研究課題として近代化のなかの「老親と子との同居」を「虐待」の視点から追求することの重要性を提出した。
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