島村抱月「情」の美学の構想(三)||シマムラ ホウゲツ 「ジョウ」 ノ ビガク ノ コウソウ (3)
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概要
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本稿では、「美学と生の興味」(一九〇七・九~一〇)にみられる、新カント学派の先駆をなしたH・ロッツェの哲学及びその影響下に成立したいわゆる生の哲学及びリップスの感情移入理論の受容について検討した前稿を受けて、「囚はれたる文芸」(一九〇六・一)から始まり、「文芸上の自然主義」(一九〇八・一)「自然主義の価値」(一九〇八・五)に至る自然主義文学論について検討する。「囚はれたる文芸」において抱月は、古典古代から十九世紀末に至る西欧文化史を、「知」と「情」の対立・相克の過程として捉え、その文脈のなかに近代日本の文学・芸術を位置づけることを試みた。日本の文芸も、実証的合理主義的に世界を把握する自然主義的認識の制約から脱し、「情」によって世界を捉える象徴主義的方向に進みつつある西欧の文学・芸術の道筋を歩むことになるだろうというのがここで抱月の示した展望である。しかし、島崎藤村の『破戒』(一九〇六)及び田山花袋「蒲団」(一九〇七)の批評を通してこの観点を修正、現在の日本においては自然主義が「プレゼント・テンス」であるという認識を提示、自然主義文学運動に積極的に加担、モダニズムに向かう西欧文芸の動向を視界に収めながら「文芸上の自然主義」「自然主義の価値」など、一連の自然主義論を書いて、自然主義文学運動に理論的根拠を与えることを企てることになるが、この過程を、彼の美学理論に照らして検討していくのが、本稿の基本的課題である。
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