Adverbial Clauses in Koryak : Degrees of Subordination and the Five Levels
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概要
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本稿では,コリャーク語の副詞節の形態統語的・意味的特徴を,主に1) 従属の度合い, 2) 主節のモダリティおよび従属節と主節の連接が表わす意味関係によって設定された「五段 階」(角田三枝 2004)の2つの観点から考察し,次の点を指摘した。 (a) コリャーク語の典型的な副詞節は,非定形動詞として現われるが,これには本来,名 詞語幹につく格接辞に由来する節連接マーカーが動詞語幹に直接付加されるタイプ と,「関係接辞」と呼ばれる接辞を介して間接的に動詞語幹に付加されるタイプとが ある。前者のタイプには,場所格,道具格,与格,共同格,随格が用いられるが,表 わしうる意味領域の範囲が場所格>道具格>与格,共同格,随格の順で階層をなす。 また,後者のタイプには方向格が用いられる。 (b) 典型的な副詞節以外にも,定形動詞や接続詞を用いた周辺的な節の連接も見られる。 このような事情も関わって,コリャーク語では従属節と等位節を区別することは必ず しも容易ではなく,むしろ連続体を成していると考えられる。この連続体は,主節へ の従属の度合いによって,従属節から等位節へと大まかに4 段階に分類される。 (c) 「五段階」から見ると,コリャーク語の副詞節は,原因/条件と逆接の間に線を引く ことができそうである。すなわち,前者はレベルⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ(場合によってはⅤ) をカバーできる一方で,逆接はレベルⅠ,Ⅱ,Ⅲしかカバーできない。 (d) 日本語では従属節の従属の度合いと「五段階」が相関する可能性が指摘されているが (角田三枝 2004),コリャーク語では非定形動詞か定形動詞かという従属の度合いの 違いと「五段階」の間の相関性は現段階では観察されていない。ただし,限られたデ ータによる観察であるため,今後のさらなる調査が必要である。
- 2012-03-31
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