ワーキングメモリの小さい子どもに対する学習支援 : 小学校3年国語科授業における教授方略の効果
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概要
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本研究の目的は,クラスでワーキングメモリの相対的に小さい子どもが日本の小学校の授業場面でどのような行動を示すのかを明らかにし,学習遅滞や発達障害のリスクのある子どもに対する学習支援の枠組みを構築することである。本年度は,国語科に焦点を当て,ワーキングメモリの小さい児童の学習支援に有効な教授方略の効果を検討した。小学校3年生1クラスの児童にワーキングメモリのアセスメントを行い,クラスで最も得点の小さい者3名を観察対象者とした。そして,国語の授業6時間で観察を行い,教師または生徒の発話に応じて,観察対象者の挙手および授業態度の記録を行った。そのうち,1時間は,研究授業として,演劇ボード上で人物のカードを動かしながら,文章で描かれた場面を具体的に考え,主人公の気持ちを推測するという教授方略を実践した。その結果,少なくとも観察対象児1名の挙手や参加率を高める効果が示唆された。演劇ボードを用いることで,児童にとって,状況モデルを内的に記憶しておく負荷が軽減され,児童は,文章の個々の表現に注目し,状況モデルとの対応関係を考えることに注意を向け,集中することができたと考えられる。
- 2012-03-26
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